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リヴァイアサン


コンクのサントフォア修道院付属教会
(半円形壁面彫刻の最後の審判の
地獄の場面。口を大きく開けているのが
リヴァイアサン)

リヴァイアサン
昨年の秋、フランスのコンクの村を歩きました。中世を色濃く残す
コンク。そこには、巡礼路教会であるサント・フォアがある。
コンクの村自体が非常に鄙びた、静かな村ですが、しかし、なんと
いってもサント・フォア修道院付属教会あってのコンクである。


(再臨するキリストが最後の審判を下す。
非常に印象的な彫像群)

実は今回、紹介します話は実は、その教会の西正面にある
半円形壁面の中にあるリヴァイアサンです。このリヴァイアサン、
旧約に出てくる海の怪獣ですが、ロマネスクの教会に表現されてい
る彫像としては非常に珍しいものではないでしょうか。

実は学生時代にホッブズの「リヴァイアサン」(岩波文庫版・全四冊)
を必読本として手に入れましたが、余りに複雑で読むのを諦め
そのうちに私の本棚からいつの間にか消えていたというわけです。

ホッブズは国家をリヴァイアサンに見立てた訳ですが、はじめの
紹介文として「近代自然法に基づいた国家の絶対主権を始めて
理論つけた不朽の著作」とあります。


(リヴァイアサン・ホッブス著・水田洋訳
・岩波文庫 全四冊 この本は現在、
絶版中)

本の内容はともかく、リヴァイアサンについてどんなものであったの
か、ホッブズはわずかに触れています。

「地上には彼と比較されるべきなにものもない。かれはおそれを
もたぬようにつくられている、かれはすべてのたかいものをみくだし
、あらゆる高慢の子たちの王である、、、」とあります。

ホッブズは近代政治思想史に燦然と輝く思想家ですが、私には
その中身より、このリヴァイアサン(最初この著作のタイトルを見た
とき何とも不思議な念に陥った記憶があります)とは一体何者と
いう興味があります。

しかし、中世ロマネスク期の彫像家(石工?)は見事までの想像力
で、この旧約(ヨブ記)の怪獣の姿を描いて(刻んで)見せてくれました
。はじめて、その姿を見て、ああ、これがあのリヴァイアサン?としば
し感慨にふけったことでした。

このキリストの「最後の審判」の場面。天国と地獄では、まさに罪人
(吝嗇、傲慢などの)がリヴァイアサンの大きい口に追いやられる場面
ですが、時としてロマネスクの図像は聖書に疎い私には分かり難い
時がありますが、コンクの正面壁面彫刻はなんとか、私にも理解し
やすいところがあります。


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コメント 10

教会に行っても、折角の彫刻の意味やストーリーが分からないので、これは勿体無いと思いたって文化史の本を幾つか読み始めたところです。
文字で想像つかない場合はこういう風に画像で理解できると想像力ももっと膨らみますね。
勉強になります~。
by (2006-03-26 07:28) 

yoku

中世美術は何も考えないで見るのも
楽しいのでしょうが、どうしても謎解き
絵解きみたいなところがあってどうして
も考えてしまいます。
まだまだ、分からないところばかりです。
by yoku (2006-03-26 10:04) 

イソップ

私はリヴァイアサンと聞くとFFの召喚獣を思い浮かべてしまいます(笑)。中世を考える時はやはり聖書の勉強も必要ですね。
by イソップ (2006-03-27 09:18) 

<最後の審判>大好きだょ♡
by (2006-03-27 20:02) 

春分

リヴァイアサンは比類ない怪物という印象ですね。ヒドラとかはどうもかなわない印象で。
このレリーフのリヴァイアサンは、獣のようですね。
私などはもっと化け物らしい化け物を想像します。
by 春分 (2006-03-27 23:28) 

yoku

イソップ様
正直言って、宗教そのものには、それほど、関心は
無かったのですが、ヨーロッパの中世はどうしても
宗教(キリスト教)と切っても切れない関係ですから
多少,かじりました。私は、リヴェイアサンとは
学生時代のホッブズの著作で初めて目にしました。
by yoku (2006-03-28 04:02) 

yoku

ファゴット様
中世の人々には「最後の審判」は非常に重かった
ようですね、特に悪業を行った人には。地獄が待って
いたわけですよね。ですから、このモチーフの美術は
非常に多いですね。
by yoku (2006-03-28 04:10) 

yoku

春分様
これらの彫像は、なんとなくおどろおどろしいと
いうよりも愛敬もあります。そこが、ロマネスク
面白さに通じる気が私にはしているのですが。
by yoku (2006-03-28 04:17) 

zep

社会契約説の話をするとき、「リヴァイアサンというと、君たちにはバハムートのメガフレアとか大海衝だろうが....」(いずれもFFの召喚獣)という話から始めます(笑)。『リヴァイアサン』の原書扉絵では、リヴァイアサンは体が多くの人間からできていて、片手に剣、片手に裁判の錫を持っている人間に近い(?)姿で描かれていますね。
by zep (2006-04-01 21:01) 

yoku

zep様
確かにFF召喚獣の話から始めるというのは、
教育現場ならではのお話ですね。
リヴァイアサンは旧約に出てくるのですから、
勿論、中東起源でしょうが、竜の起源とあいまって
興味深いです。
by yoku (2006-04-02 06:21) 

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